第3回 デモ内容で見たCES
CESリポートの最終回である今回は、前回、前々回とはうって変わって、デモそのものの手法や内容という観点からCESを振り返ってみよう。
CESで驚いたのは、世界中どこのオーディオショウでもデモ用音源として再生されるCDにはあまり変化が見られないということだ。日本でよく聴く音源も多くのブースで聴くことができた。人種や文化を超えてオーディオファンに好まれる音源があるということが感慨深い。
圧巻のスイートルームブース
CESベネチアンホテルの34階、35階はスイートルームになっており、部屋自体が広めの作りである。そのため、各ブランドとも機器の構成が非常に豪華であり、かつ日本のオーディオショウではなかなか聴くことができないレベルの高品位なサウンドを奏でるデモがとても多かった。
特に、スイートルームのデモの圧倒的な音質は帰国後も印象深い。もちろん下層階の部屋も充実のサウンドを聴かせてくれるブランドも数多く存在したのだが……。以下、特に印象深かったブースをいくつかご紹介しよう。
■EMM Labs
日本でもハイエンドオーディオブランドとして名高いEMM Labsのデモは、前回お伝えしたマルチチャンネル再生でのデモと、ヘッドフォンでのDSD音源のデモが中心となっていた。
マルチチャンネル再生環境は部屋を贅沢に使用しており、部屋の入り口から念入りに厚手のカーテンで仕切られた幾重にも折れ曲がった通路を進んでやっとたどり着いた先には、自ら制作に携わったというマルチチャンネルDSD音源のデモである。
モニタースピーカーとしてソニーSS-AR1が使用されていたが、国内のSS-AR1のデモでは聴いたことがないような品位での実演を行っていた。数十メーターにも及ぶKimber Selectのスピーカーケーブルなど、マニアックなアクセサリーも使われていたが、トータルでのセッティングの巧みさが感じられた。
DSD音源は、音楽の内容としての良さというのと異なる評価になる場合にあると思われるが、ライブ音源の臨場感をハイレベルで再現しており、DSDマルチチャンネルデータ再生の長所が伝わるデモだったといえよう。
また、新製品のDACプリのデモはヘッドフォンケーブルを改造し、アナログ出力に直接接続するという面白い方法で行われていた。使用するヘッドフォンはゼンハイザーのHD600やHD800で、非常に細やかかつ緻密な、単なるヘッドフォンアンプではなかなか聴くことができない再生音だった。聴感上のノイズはほぼ皆無で、プリアウトの出力の優秀さを間接的に示すデモとして今後も続けて欲しいものだ。
■MAGICO
ハイエンドオーディオブランドとして日本でも近年人気の高いMAGICOは新作のスピーカーQ7を発表し、デモを行っていた。こちらのデモではソース側の機器は一切不明(近日公開予定とのこと)ではあったが、何らかのメディアサーバー系ハードウェアをトランスポートとして使用していたようで、その他のハードも大半が黒塗りの未公開の製品で構成されていた。そのような中で唯一わかるのが、一般的には入手不可能なPacific Microsonics社製DACというのは、もはや笑うしかない。
再生されるデモ音源は多くがクラシック系楽曲であったが、そのサウンドは極めて精緻で深い奥行き感が感じられるシステムとなっており、落ち着きと清らかさの同居した品を感じさせつつも、決して音やせすること無い雄大なサウンドステージが感じられるサウンドだった。MAGICOのスピーカーの個性が、よく表現されていたのではないだろうか。
(次ページへ続く)













