(3)PCシステム用ストレージにおける3.5インチと2.5インチHDD、SSD
①PCシステム用ストレージでは速度の持つ意味が大きい。
システムとなるとOSやアプリ、各種ハードウェア、周辺機器など一挙に複雑になって、単純な議論や推論で整理するのはとても困難だが、特に大きな要素としてはシステム内部ではメモリーやチップセットをはじめデータのやりとりについてのスピードが非常に速い、ということがある。バス周波数は既に1000MHzを軽く超えている。またマルチタスクという複数の作業をこなしていくことも随時行われ、個々の経過について細かくログを残す書き込みも随時行われる。
②ノートPC用ストレージ
→体感上の速度は明らかにSSDの方が良い。だが音質的には2.5iインチHDDも結構健闘している。
例えばノートPC用に2.5インチHDDとSSDを入れ替えて音楽再生で比較した場合、動作としての体感上の速度は明らかにSSDの方が良い。ところが音質的に見ると2.5inchHDDも厚みやバランスという点で結構健闘している。これは総じてノートPCの内部スピードがやや速くないということと、バッテリー保持時間が非常に重要なファクターで、そのためソフト・ハード的にあれこれとバックグラウンドで動いている、ということが大きい要素であろう。ノートPCでは総じてバッテリーを外した方が音質は改善されるのは、このあたりが深く関係していると筆者は考えている。
③デスクトップPC用ストレージ
→当面SSD/ SATA2~2.5も含めて試してみよう。やはり、速けりゃいいってもんじゃない。
3.5inchHDDも練られた濃い音の良さはあるけれども、ノートのような制約がないためか、特に読み出しが高速なSSDの方が音のスピード感がきっちりと納まって、全体として爽快感が好ましく感じられる傾向がある。これはデスクトップ機の処理速度とのマッチングが良いのではないかと思われる。
ただ「SSDは遅い方が音は良い」という友人もいて、SATA3(6Gbps)やSATA2(3Gbps)など試してみた。筆者のASRock Z77E-ITX+Intel Core i3 3220T(TDP 35W)でSATA3ケーブルをマザーボードのSATA3ポートに挿すという共通した条件下では、Ubuntu Studio/LinuxでmSATAというminiPCIexpress用のSATA3 SSDを、2.5インチSSDサイズに変換するアダプターに挿して使うSATA2.5~SATA2の方がじっくりと濃い味わいで聴くことができた。Windows7での差は大きくなかったので、面白いものである。ということでUbuntu Studioメインの我が家では当分SSD/ SATA2~2.5も含めていろいろ試してみようと考えている。
④SSDのファイルシステムと容量の問題
→SSDではデータを書き換える時に元データを上書しないので、実際に使用できる領域が小さくなる。
SSDではHDDとは異なり、データを書き換える時に元のデータを上書きせず、データの書き込まれていない未使用領域に書き込み、書き込むデータ量がストレージの総容量を上回ったときに初めて使わなくなった領域を整理し、未使用領域を作り出すという仕組みになっている。
つまりすぐにデータを消去しないので、実際に使える領域はHDDより小さくなる傾向がある。そのためOSを全面削除してインストールする、といった場合に、小容量だと容量不足でインストールが継続できない、といった事が生じうる。例えばUbuntu Studioであっても最低30GB、できれば64GBぐらいあった方が安心だと実感している。
(4)音源用ストレージにおける3.5インチと2.5インチHDD、SSD
①2.5インチHDDは厚みも伸びも音質的には中途半端
まず2.5インチHDDは音質的には中途半端で、音源用としては個人的には使いたくない。実際に使っている用途は、ダウンロードしたFLACファイルの保管用などである。
②SSDは爽快感のある速い音だが、どうしても「薄い、軽い」という感じがつきまとう
このあたり好みもあろうが、また音源用としてはまだまだ価格が高いということも否めない。
③「選び抜いた3.5インチHDD」が筆者にとしては一番音質的に好ましい音源ストレージと考える。
現在のところ、1プラッターの1TBがバランス的に一番良いと思っているが、このあたりは後述する。
④上記はプロオーディオと共通した認識。
筆者がB&Wノーチラスという、全ての周波数がほぼ同一タイミングで出るよう設計された大型スピーカーを使っていることも関係しているかもしれないと考える読者もおられよう。しかしながら、これらの状況はプロオーディオで音楽製作に当たっている関係者とほぼ同じような認識で、プロオーディオではちょい古のIDE/PATAすら、まだまだ現役であるくらいだ。
(5)HDDも光学ドライブもアナログ機器である
HDDについては前回の「ストレージ研究〜オーディオ的ハードディスク考察」(http://www.pc-audio-fan.com/special/think_storage/20130315_40936/)で、
「基本的には電気信号を磁気の強弱に変換して磁気ヘッドで磁性体であるディスクに記録する。再生時も磁場に磁気ヘッドを配置して読み出して、その磁気の強さ弱さをデジタル情報のゼロイチの2項判別に用いて、電気信号に換えて出力する。一部デジタル制御に置き換えられているところもあるが、全体として立派なアナログ電子機器である」と述べている。
光学ドライブも同様にアナログ機器であるので、個々に音質が違うのは当然で、さらに言えば「サーボ電流が…」と言われていたように、それは読み取り性能が違うなどというデータ関連事項だけではなく、例えば何倍速でどれくらいのデータサイズで送り出すかはPCのCPU負荷にも関連するだろう。アナログ回路である以上、ノイズなどデータ以外の音質ファクターも電源やアース、ケーブルなどを通じて伝わっていくので、この「アナログ機器である」ということに十分にイメージを走らせて、思いを致していただきたい。
また光学ドライブのサーボ電流が問題になるならば、より電源の役割が大きい「HDDのサーボ電流」のほうがもっと注目されるべきであろう。デジタルオーディオやPCオーディオについて論ずるのであれば、やはりその前にHDDの内容について細部に至るリサーチ、勉強は必要だと考える。
(次ページへ続く)













