最近のUSB-DACの増加には、目をみはるものがあります。しかし、一見同じように見えるこれらの各モデルですが、技術的な内容では違っているものがあります。
その違いとして、機器の特徴としても謳われることの多い
・USBの特質とバージョン、Audio Class 2.0について
・ドライバーソフトが必要なもの、そうでないもの
この2点について、説明しましょう。
その前に、まず系統的に分けたUSB-DACの種類を整理しておきましょう。表を参照してください。
USB-DACはドライバーによる違いが大きい
USB-DACもPCの周辺機器として動作するわけですが、USB-DACがPCに対応するドライバーで動作するかどうかで分けることができます。これは2種類に分けられ
1.USB Audio Classと呼ばれるPCのOSに標準で実装されているドライバーを利用するモデル
2.上記以外の独自ドライバーを用いるモデル
となります。
1.は、各社共通の仕様でWindows、Mac、LinuxなどのOSに依存しない方式で、USB.orgという機関によって規格化されています。この方式の利点はドライバーをインストールする必要がなく、USBに接続するだけで動作が可能となることです。またUSB Audio Classはリアルタイムにデータを流すアイソクロナス転送方式(簡単にはストリーミングデータ)を採用しています。
USB Audio Class1は上限が96kHzで、USBのラインは12Mbps(1秒間に12メガビット、Full Speed規格)で動作します。2009年にUSB Audio Class2に改定され、192kHzの対応がなされました。こちらは480Mbps(High Speed規格)です。
この192kHzは現時点で、Macはパソコン内部のクロックに「同期」、「非同期(Async:アシンクロナスモード)」のどちらにも対応していて、Windows7ではアシンクロナスモードに対応していません。従って、USB Audio Class2を採用した192kHzのアシンクロナスモード対応機はWindowsのみ専用ドライバーをインストールする必要があります。このドライバーは2.で後述する独自ドライバーとは異なり、あくまでもWindowsのUSB Audio Class2 のアシンクロナスモードに対応するためのものです。
したがって特定の機器が接続された場合にだけ、このアシンクロナスモード対応ドライバーが引き当てられ、それ以外では標準ドライバーが引き当てられる仕組みになっています。
いずれはWindowsのUSB Audio Class2もアシンクロナスモードに対応すると思われますので、このアシンクロナスモード対応ドライバーはその間の暫定的なものと考えてよいと思います。
2.は、各社独自の方式によるものでバルク(直訳すると「束ねる」)転送モードが用いられます。つまりPCのOSごとにUSB-DACの機種専用のドライバーをインストールして使用します。スペックを独自で決められるため、汎用性は低い反面、機能の自由度が高く、USB Audio Classでは規格化されていない5.1chなどのマルチチャンネルや32ビット録音再生などの対応も可能になります。